堺化学が100年かけて磨き上げた“粒子制御技術”

堺化学工業が酸化亜鉛の製造を開始したのは1918年。 当時、日本では“おしろい”に含まれていた鉛白による健康被害が社会問題となっており、 安全な白色顔料として酸化亜鉛が求められたことが、開発の原点でした。その後100年以上にわたり、堺化学は酸化亜鉛の粒子制御技術を磨き続け、
- ・ 顔料級からナノ粒子までの幅広い粒子径
- ・ 不定形、六角板状、板状、球状などの多様な形状
を実現してきました。これらの技術は、化粧品用途における高度な処方設計を支える重要な基盤となっています。
粒子径が決める、紫外線(UV)・可視光・近赤外線(NIR)のバランス
酸化亜鉛は“白い粉”というイメージとは裏腹に、粒子径によって光学特性が劇的に変化する非常に奥深い素材です。以下では、粒子径ごとの特徴をわかりやすく整理します。
▲粒子径と透明度の関係を表しております。
●粒子径と機能の関係(まとめ)
| 粒子径 | 主な特性 | 代表用途例 |
|---|---|---|
| <50 nm | 高いUV遮蔽、透明性良好 | 日焼け止め |
| 50–100 nm | UV遮蔽+可視光散乱のバランス良好 | トーンアップ製品、SPF付与のメイクアップ |
| >100 nm | 強い可視光散乱、特に1000nm以上はNIR(近赤外線)の反射・遮蔽 | 近赤外線カット訴求等のメイクアップ |
-
< 50 nm
ナノ粒子の強みは“透明性×UV遮蔽”
ナノサイズの酸化亜鉛は可視光をほとんど散乱させないため、使用しても白浮きしにくく、同時にUVをしっかりと遮蔽できます。市販の日焼け止めに紫外線散乱剤として使用される一般的な粒子径です。
-
50–100 nm
“トーンアップ×UV遮蔽”
この領域の粒子は可視光散乱の働きも適度に発揮するため、自然なトーンアップが期待でき、特にSPF付メイクアップ化粧品で重宝されます。酸化亜鉛の屈折率は 1.9 と、酸化チタンの屈折率2.6より低いため、ソフトな光拡散で自然な明るさが出せる点がメリットです。
-
> 100 nm
“近赤外線(NIR)カット×カバー力”
100 nmを超える粒子径領域では、可視光散乱によるカバー力向上と1000nm以上の粒子径になるとNIR遮蔽性といった特徴が現れます。 近年メイクアップで増えている「近赤外線カット」訴求に適した粒子径となります。
粒子“形状”がもたらす特性
堺化学の酸化亜鉛は、単に粒子径を揃えるだけでなく、形状そのものも高度にコントロールされています。以下は代表的な形状バリエーションです。

-
不定形
(FINEXシリーズ/SF-5)
最も一般的な形状。
堺化学の強みである粒子径制御技術によって、20 nmの超微粒子酸化亜鉛 FINEX-50シリーズをはじめ、幅広い粒子径がラインナップされています。特にFINEXシリーズは、透明性とUV遮蔽の両立が評価されている製品です。SF-5 はD50が100 nm以上の“ノンナノ酸化亜鉛”であり、規制対応処方にも使用しやすい点が特徴です。FINEXシリーズの製品情報
-
六角板状
(XZシリーズ)
堺化学の代名詞ともいえる形状制御技術で作られた六角板状酸化亜鉛XZシリーズ。薄い板状のため配向性が非常に高く、ファンデーションでのカバー力向上に効果的です。板状粒子は肌の上で“面”を形成しやすく、光を効率よく反射させるため、シミ・毛穴のカバー、高配向性に寄与します。
XZシリーズの製品情報
-
板状
(REAROUZシリーズ)
粒子の独立性を高める製法で誕生した板状酸化亜鉛。 粒子の独立性が高く凝集しにくい酸化亜鉛なので、弱いシェアでも分散しやすく、圧倒的な易分散性を誇ります。 高いUVA遮蔽性・板状由来のツヤ感・なめらかな塗り心地も持つため、日焼け止めだけでなくベースメイクに最適です。
REAROUZシリーズの製品情報
-
球状
(LPZINCシリーズ)
こちらは球状の酸化亜鉛で、主に工業用途に使用されています。不定形の酸化亜鉛と比較し、流動性・充填性が大きく向上する形状となります。
LPZINCシリーズの製品情報
まとめ:酸化亜鉛の形状制御が拓く処方設計の未来
酸化亜鉛は、粒子径や形状を変えることで、
- ・UV遮蔽性
- ・トーンアップ効果
- ・カバーカ
- ・NIR遮蔽性
など、実に多彩な機能を持たせることができます。
堺化学が100年以上追求してきた粒子制御技術により、化粧品開発者の皆様には、製品コンセプトに合わせて最適な酸化亜鉛を選択いただくことで処方設計の幅を広げることが可能となっています。
「白い粉」からは想像できないほどのポテンシャルを秘めた酸化亜鉛。次回の製品設計にぜひ、この"粒子設計の妙"を活かしてみてください。
