人権デューディリジェンスの実施
HUMAN RIGHTS DUE DILIGENCE
人権推進体制
堺化学グループは、人権課題への取り組みに関する活動を実行する機関として、人権部会を設置いたしました。 人権部会は、ESG経営を実践する組織であるサステナビリティ委員会の下に位置しており、当社のサステナビリティ推進体制とも連携しております。
推進体制図
人権デューディリジェンスの実施
堺化学グループでは、人権に対する負の影響を特定するとともに、その発生の防止と発生リスクの低減に努めています。 2024年3月期は、人権リスクの洗い出しと評価を実施し、優先対応人権リスクを特定しました。 2025年3月期は、特定した優先対応人権リスクへの対策について、国内外のグループ各社で個別の人権DD計画表を策定しました。 また計画実施にあたり、中間、期末時点で人権部会によるモニタリングを行い、進捗状況を人権部会に報告しております。
優先対応人権リスク
横スクロールで表全体をご確認いただけます。
| テーマ | 優先対応人権リスク | 主な関連するステークホルダー | 取り組み |
|---|---|---|---|
| サプライチェーン上の人権 | ① サプライチェーンを通じた人権課題 | サプライチェーン上の労働者、顧客、従業員、地域社会 | ・原料調達先にCSRアンケートを実施 ・調達先に対する外部通報窓口(JaCER)の周知 |
| ② 責任ある鉱物調達 | サプライチェーン上の労働者、地域社会 | ・購買先監査チェックリストの実施 | |
| ③ 責任あるパーム油調達 | サプライチェーン上の労働者、地域社会 | ・化粧品材料製品のRSPO認証取得 | |
| 労働安全衛生 | ④ 安全衛生 | 従業員、サプライチェーン上の労働者、顧客、地域社会 | ・構内事業者の安全配慮を正式に規定化 ・各種防災訓練の実施 |
| ⑤ 化学物質の適切な保管管理 | 従業員 | ・毒劇物リスクの抽出・確認を実施し、対応方針を策定 | |
| ダイバーシティと職場の人権 | ⑥ メンタルヘルス | 従業員、サプライチェーン上の労働者 | ・メンタルヘルス教育 ・産業保健スタッフやメンタルヘルス専門医によるフォロー ・ストレスチェックの実施 |
| ⑦ ダイバーシティの推進 | 従業員 | ・人的資本経営の推進組織として、人的資本部会を立ち上げ ・セミナー、ワークショップの実施 ・女性活躍推進 |
人権デューディリジェンスの進捗に関する第三者レビュー
国内外のグループ各社で策定した2024年度の人権DD計画表に対し、大村恵実弁護士による第三者レビューを行っていただきました。
大村恵実
弁護士・ニューヨーク州弁護士
ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク運営委員
レビューコメント全文表示
弁護士 大村 恵実
グループ全社の人権デューディリジェンスに関する進捗管理表に基づき、2024年度の取組みについて2025年9月に第三者としてレビューを実施しました。特に人権リスクが高いと考えられる素材を取り扱う調達部門やグループ会社との対話では、人権侵害の被害者のための救済窓口(会員企業である(一社)ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)にて設置)の周知について協議しております。
また、他のグループ会社において、人権尊重の思想を実践する日常的な取組み(たとえば、障がいのある社員の働きやすさに向けた周囲の社員のサポート体制等)を現地訪問やヒアリングにより確認しました。
サプライチェーンに関する取組みとして、取引基本契約書にサステナビリティ条項(取引先に対して、人権尊重や環境配慮を含む取組みを求める条項)の導入を進めていることが確認できました。取引先に対する調査票の交付や回収が進んでいるものの、人権リスクに関してより具体的な情報を得られるよう、質問項目を改定することや、調査票の交付担当者向けの研修を行うことなど、実効的な人権デューディリジェンスを実施するための措置を協議しました。
第三者レビューの総括として、矢倉社長をはじめ経営層との対談では、海外の取引工場における労働安全衛生を優先的に確認する必要性について意見交換し、製品の研究開発段階から人権の視点を取り入れる重要性も伺いました。経営層のコミットメントに基づき、人権管掌部門だけでなくグループ全社で人権取組みを進化させるために不断の努力を重ねる姿勢が印象的でした。
責任ある調達の推進
堺化学グループは、調達基本方針に基づき、責任ある持続可能な調達を目指しています。その実現のためには当該方針を取引先にご理解いただくことが必要であり、 良好な関係づくりや相互理解に努めています。
責任ある鉱物調達に関する取り組み
非人道的武装勢力の資金源となる可能性が指摘されている紛争鉱物については、「堺化学グループの責任ある鉱物調達方針」に基づき、必要に応じて取引先に購買先監査チェックリストなどに回答いただき(書面監査)、紛争への関与がないことを確認しています。 近年は、児童労働や環境破壊などのリスクも含めた「責任ある鉱物調達」の重要性が高まっています。 堺化学グループでは、取引先への周知、理解を求めていきます。
人権教育の実施
堺化学グループは、全ての役員および従業員が人権について正しく理解し、その知識を実効的に事業活動に反映できるよう、必要な教育を行っています。 2024年3月期は、国内の全グループ会社の全社員を対象に、「ビジネスと人権」に関する包括的な研修を実施しました。
| 受講者数 | 対象者数 | 受講率 | |
|---|---|---|---|
| グループ合計 | 1,624 | 1,692 | 96.0% |
| 管理部門 | 96.1% | ||
| 営業部門 | 96.1% | ||
| 調達部門 | 96.2% | ||
| 製造部門 | 95.8% | ||
| 研究部門 | 96.0% | ||
※未受講者には育児休業中、休職中の従業員を含む
苦情処理機関「JaCER」への入会
堺化学グループの人権基本方針に掲げている救済システムの構築を実現するため 、一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に正会員として入会しております。JaCERは「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠して、非司法的な苦情処理プラットフォームを構築し、専門的な立場から参加企業の苦情処理の支援・推進を行うことを目指す機構です。堺化学グループはJaCER通報窓口の活用をはじめ、より実効的な救済システムの構築に努めてまいります。
